江戸から継承16代「大黒屋」宿泊体験記【中山道細久手宿】
2021年秋、中山道自転車旅にて岐阜県は瑞浪市・細久手宿の「大黒屋(だいこくや)」さんに宿泊しましたのでその体験記をお届けします。
美濃路を歩く人は皆この旅館に泊まるとも言われる超有名なお宿。
晩秋の美濃路を走って冷えた体に染みわたる、温かなおもてなしをいただきました。
はじめに:大黒屋とは
大黒屋は江戸時代から延々と旅籠業を受け継いできた超老舗旅館で、その系譜は現当主で16代目となるそうです。
徳川御三家のひとつ、尾州家の定本陣であったことから建物も大変格式高く、国登録有形文化財にも指定されています。
そんな歴史的建造物に実際に泊まれてしまうのがこの大黒屋。
一人旅の自分でも快く受け入れてくださる、大変にありがたい存在です。
宿泊料金
1泊2食付き10,400円〜 (公式ホームページより)
自分が泊まったとき(2021年11月)は1泊2食付きで11,400円(消費税、暖房費、1人料金 等込み)でした。
また素泊まりや1食のみの受付はしていないようです。
予約方法
電話のみの受付です。
TEL:0572-69-2518
その他基本情報
所在地 | 岐阜県瑞浪市日吉町7905-1 |
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電話番号 | 0572-69-2518 |
公式HP | 細久手宿大黒屋 |
チェックイン / アウト | 15時〜 / 〜9時 |
【安政6年建設】貫禄の尾州家定本陣に宿泊!
それではここから実際の宿泊体験記です。
お部屋
広い!1人でこんな大きな部屋使っていいんかってなりました。
お茶菓子は自家製のパウンドケーキ(写真撮り忘れた!)。柑橘系のアクセントが効いていてとても爽やかな味わいでした。
館内
入り口の門。
お部屋を出たとこ。2重窓に廊下を挟んでからお部屋があるので、お部屋はとても暖かいです。
僕の実家含め、奈良井の建物はなぜか部屋を開けるとすぐ外なので、冬めちゃくちゃ寒いです。標高950mの山中でなぜあんな作りなのか。。。
うちはこんな感じ↓↓
階段
こういう古い階段っていいですよね。
昔の階段はとっても急です。宿泊のお部屋は全て2階なので、手すりにつかまって気をつけて上り下りしましょう。
一部リフォームされて登り下りしやすくなっている階段もあります。手すりもあるので、少し足元に不安のある方でも安心です。
トイレ
綺麗にリフォームされていました。ウォシュレットもあります。
お風呂
お風呂は小さい浴槽が2槽あって、多分お客さんが入れ替わるたびにお湯を張り替えてくれてると思います。
僕の前に1組お客さんが入られるということで、そのお客さんの後に掃除してから案内してくれました。
夕食前の忙しい時間帯に毎回掃除&お湯の張り替え・・・さぞ大変だと思います。
浴槽は小さめですが、おかげで綺麗なお湯につかることができました。
お食事
夕食
夕食は山の幸満載のおご馳走。
周辺にスーパーなどがない立地(一番近いところで車で20分)で食材の確保も大変な中、大変美味しいお食事を提供してくださいます。
真ん中はユリネ。初めて食べましたがホクホクでとっても美味しい。
イワナの塩焼き、鯉の煮付け、里芋まんじゅう。
お味噌汁具だくさんの合わせ味噌!細久手の地では信州の信州味噌やら名古屋の赤味噌やらが混じり合うところで、いろんな味噌が楽しめるそう。
デザートはりんごのコンポート(写真忘れたw)。
どれも本当に美味しかったです。
食事中、ソーシャルディスタンスを保ちながら、アクリルプレート越しに滋賀から中山道歩きをされてる3人組の60代のお客さんと少々おしゃべり。
このお宿の宿泊客はほぼ中山道歩きなので、お客さん同士とっても話が合います。
鵜沼宿で予約したホテルがラブホだった話とか、色々聴きながら楽しくお食事しました。
朝食
朝食も優しいお味で元気いっぱい!朝は赤だしのお味噌汁でした。
(ちょっと食べ始めてから慌てて写真撮りましたw)
宿場観光
時系列前後しますが、夕食まで時間があったので細久手宿を少し散策。
大黒屋さんが観光案内所も兼ねていて、パンフレットとかもらえます。
残念ながら細久手宿は資料館等の観光施設はありません。
江戸後期の大火により大黒屋以外の家屋が全焼すると、復興もままならず明治に入り宿場の機能が不要となったため、細久手の街の再建は叶わなかったそうです。
それでも地元の有志が「大黒屋に泊まる人のために」とかつての史跡・旧道を紹介した散策マップを作ってくれたそうです。ありがたく散策させてもらいました。
宿場内には史跡を紹介する手づくりの看板もたくさん見ることができ、地元の方々のぬくもりを感じました。
地元の方の日常:ラジオ体操に参加
朝食前、地元の人々が毎日集まって行っているラジオ体操に一緒に参加しました。
「今日は賑やかでいいねえ」
なんて歓迎ムードの中、朝の寒さに凍えていると、
「細久手宿は岐阜の宿の中でも一番標高が高いから。450mくらいあるでね!」
と元気なおばちゃん。
標高950mの奈良井から来たことは黙っておきました。
伝統を守る努力
大黒屋さんに着くと、ご主人から今日の旅程はどうだったか、ペース配分はどうだったかなど、こと細かに聞かれました。
自転車で来る客は珍しいらしく、中山道をどのくらいで走れるのか知りたかったそう。
その背景には便の悪い旧街道で旅館を営むご主人のご苦労が伺えました。
突然のキャンセルへの対応
大黒屋さんのある細久手宿は鉄道が通らない旧街道のため、中山道を歩かれるお客さんが道中のアクシデントで当日キャンセルされる方も少なくないそう。
キャンセル料を頂きたいけれど、相手も不幸にも来れなくなってしまった状況のため、なかなか受け入れてもらえないこともあるそう。
こういったドタキャンを未然に防ぐために、ご主人はお客さんへ旅程のアドバイスを毎回しているそうです。
「徒歩の人のペースは自分も何度も歩いたしほぼわかるけども、自転車はあまりケースがなくて。。。」
とご主人。それで僕の情報を聞き出されたのですね。
うちもそうですが、スーパーも近くにない田舎では何日も前からお客さんのために準備をします。
キャンセル料を渋られるお客さんは、ぜひその点をご理解いただけると嬉しいです。
山間部は日の入りが非常に早いので要注意。旅程が心配な方は、予約の際に相談すれば細かく教えてもらえますので安心してください。
数々のあたたかな心づかいに感動
こんなこと書きながら自分も、大黒屋さんにはとっても迷惑をかけてしまいました。
実は自転車の給水ボトルを置いてきてしまい、実家まで送ってくれもらいました。。。
道中気づいて電話で『廃棄してください』と伝えると、
「もったいないから郵送します」とご主人。
『じゃあ着払いで送ってください!』と伝えましたが、しっかり元払いで送られてきました。
ほんと申し訳ない。。。この時のお礼を兼ねてまた必ず再訪します。
追記
郵送代とお礼を込めて、木曽漆器の橋を送らせていただきました。
またぜひ遊びに行きたいです
以上、中山道細久手宿・大黒屋旅館さんの宿泊体験記でした。